財産分与と寄与度の評価

財産分与と「2分の1ルール」

財産分与とは、婚姻期間中に夫婦が共同して得た財産を、離婚時に夫婦間で分け合うことをいいます。

財産分与においては、原則として、夫婦の一方が収入を得ることができたのは夫婦の他方の家事・育児等の協力があったからだとの観点から、婚姻期間中に得た財産を2分の1ずつ分け合う(これを「2分の1ルール」といいます。)ことを出発点として考えることとなります。

たとえば、仕事をする夫と専業主婦の妻との財産分与において、婚姻中に夫の収入から貯めた預貯金については夫婦共同で得た財産ということになり、夫婦で2分の1ずつ分け合うことになります。

この考え方は、夫婦はお互いに平等でなければならないという考え方に基づくものです。

「2分の1ルール」の例外

とはいっても、明らかに夫婦の一方のみが苦労して財産を形成した場合などにまで2分の1ルールを貫くとすれば、個人としての苦労がほぼ評価されないものとなってしまい、結論として妥当でないことは明らかです。

そのような場合には例外的に2分の1ルールが変更される場合があります。つまり、婚姻時の財産形成について夫婦の一方の貢献が著しく大きいような場合等には、その貢献の度合い(この貢献の度合いを「寄与度」といいます。)を加味し、夫婦間で2分の1(5:5)ずつ財産を分け合うところを6:4や7:3に変更していくことがあります。

ただし、上記のように2分の1ルールは夫婦間の平等という重要な考え方のもとに運用されているルールであるため、例外が認められるのはかなり限られているようです。

寄与度の判断にあたっては、婚姻継続期間、離婚に至った経緯、当事者双方の年齢、財産状況、財産形成への協力の程度、子の扶養関係等を総合的に考慮し判断することになります。

例外が認められる場合

参考として、大阪高等裁判所における判決*が2分の1ルールの例外を認める場合として、以下のような2つの例を挙げています。

例外1 将来収入保障型

一つ目は、特殊の技能によって得る一定時期の多額の収入が将来の収入の前倒しの意味合いを持つ職業に就いている方の財産分与の場合です。たとえば、スポーツ選手の方がこの例です。

身体能力が充実している若手のときに大きく収入を得ますが、年齢を重ねるうちに身体能力は衰退し、若い頃と同程度のパフォーマンスをすることが難しくなり、収入も目減りしていき、果ては引退ということになります。

このような職業に就いている方は、若手の頃に将来の分まで前倒しでお金を稼いでいるものと見ることができます。若手の時の収入を基準として財産分与を考えるとすれば、その方の将来(つまり離婚後)のための収入を奪うこととなります。

このような場合には、寄与度を考慮し財産分与の割合を変更することがあります。

例外2 特殊技能型

もうひとつの例は、高額の収入を得るための特殊の技能が婚姻届出前の個人の努力によって形成されていて婚姻後もその才能や能力によって多額の財産が形成されたような場合です。

たとえば、医師になるために学生時代から努力を重ね、医学部に進学し医師免許をとった上で婚姻し、婚姻後も病院の経営者となり大きな財産を形成したような場合です。

そのような場合には、医師になるための多大な努力は婚姻前に行われているため、夫婦の他方の協力ということは考えられません。また、婚姻後についても財産形成への貢献は個人の能力によるところを全く評価しないことはできず、当然寄与度にも差が出るものとなります。

裁判所の判断

上でご紹介した大阪高等裁判所の裁判例は、医師として医療法人を設立し病院を経営した夫と、夫が開業医だったころに診療所の経理を一部担当していた妻の財産分与に関する判断の一部です。

裁判所の判断の中では、夫が婚姻届出前から、医師資格を取得し、インターンなどの厳しい勤務経験などを妻の協力なしにしてきたこと、妻が家事育児のみならず診療所の経理の一部を担当してきたことに言及し、財産分与の割合を夫:妻=6:4としたものです。

寄与度の傾向

過去の裁判例においては、上記の裁判例と似たような事例においてより大きな寄与度を認定していたこともありました。そうすると、現在においては、夫婦間の平等を重視して極端な寄与度を認定することを避ける傾向にあるのかもしれません。

もっとも、上記の例は寄与度が認められる場合のほんの一例に過ぎません。

弁護士にご相談を

寄与度の判断においては、夫婦が協力して得た財産とはいえないものが絡んでくるとより複雑化します。

たとえば、夫婦の一方が住宅ローンの返済の一部に親から相続した預貯金を充てた場合などが考えられるでしょう。親から相続した財産は夫婦が協力して得た財産ではなく、そもそも財産分与の対象になるものではないのです。

そのような場合に、どのように財産分与の最終的な見通しや、主張、協議の方法は複雑かつ専門的な判断が必要になります。これを専門的な知識なく個人で行っていくことは多大な労力を要し、困難なものになることが予想されます。

当事務所にてご相談いただければ専門的知識と豊富な経験を持つ弁護士が財産分与につきアドバイスをさせていただきます。離婚の紛争による精神的、肉体的な負担の軽減のためにも、是非お気軽にご相談にお越し頂ければ幸いです。

*大阪高裁平成12年3月8日判時1744号91頁


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