離婚したら親権はどう決まる?共同親権・単独親権の違いと手続きの流れ

(2026年6月2日公開)
離婚を考えているとき、子どもがいる親にとって最も気になることのひとつが「親権」の問題ではないでしょうか。
「親権ってそもそも何?」「共同親権と単独親権、どっちがいいの?」「話し合いがまとまらなかったらどうなるの?」——そんな疑問を抱えながら、どこから調べればよいかわからないという方も多いと思います。
このコラムでは、離婚と親権に関する基本的な知識から、決め方・手続きの流れまでをわかりやすく解説します。
1.そもそも「親権」とは何か
親権とは、親が未成年の子どもの身の回りの世話や教育をしたり(身上監護権)、財産を管理等したり(財産管理権)する権利であり、かつ義務のことです。
(1)親権に含まれる2つの権利
親権には大きく分けて、次の2つの内容が含まれます。
① 身上監護権(しんじょうかんごけん)
子どもの日常の世話・しつけ・教育・医療に関する決定など、子どもの身体や生活に関わる権利・義務です。
② 財産管理権(ざいさんかんりけん)
子どもが所有する財産を管理したり、子どもを代理して法律行為(契約など)を行ったりする権利・義務です。
民法は、親権について、「子の利益のために行使しなければならない」と定めています(民法818条1項)。
つまり、親の都合ではなく、常に子どもの幸福を最優先に考えなければならないということです。
(2)親権はいつまで?
親権は子どもが成人するまでとなっています。
2022年の法改正により、成人年齢が20歳から18歳に引き下げられたため、親権は子どもが18歳になるまでとされています。
2.離婚すると親権はどうなる?単独親権と共同親権
令和8年(2026年)4月1日に施行された改正民法により、離婚後の親権のあり方が大きく変わりました。
これまでの日本では、離婚後は父母のどちらか一方だけが親権を持つ「単独親権」のみが認められていました。
しかし改正後は、離婚後も父母双方が親権を持ち続ける「共同親権」も選択できるようになりました。
法律上、共同親権と単独親権のどちらが「原則」とも「例外」とも定められていません。
どちらの形をとるかは、子どもの利益を最優先に判断することが重要です。
(1)共同親権と単独親権の違いについて
共同親権と単独親権の違いについて、表にまとめました。
| 項目 | 共同親権 | 単独親権 |
|---|---|---|
| 親権者 | 父母双方が親権を持つ | 父母の一方のみが親権を持つ |
| 重要事項の決定 | 原則として父母が協議して決定 | 親権者が単独で決定 |
| 日常的な行為 | 同居親が単独で決定できる | 親権者が単独で決定 |
| 選択の原則 | 子どもの利益を最優先に判断 | 子どもの利益を最優先に判断 |
(2)必ず「単独親権」になるケース
しかし、以下の事情がある場合には、裁判所の判断では必ず単独親権と定めなければならないとされています(民法819条7項)。
| 【単独親権としなければならない事由】 ① 子どもの心身に害悪を及ぼすおそれがある場合(例:過去に子どもへの虐待があった場合) ② 父母が共同で親権を行使することが困難な場合(例:DVがある場合) ③ その他、共同親権にすることで子どもの利益が害される場合 |
DVには身体的暴力だけでなく、精神的・経済的・性的DVも含まれます。
DVや虐待が関わる場合には、無理に共同親権の話し合いを進める必要はありません。
当事者同士での交渉は避け、まず弁護士や支援機関に相談しましょう。

3.共同親権の場合、子どもに関する決定はどうなる?
離婚後も共同親権を取る場合、子どもに関することについては婚姻中と変わらず、父母双方が権限を持つと同時に責任を負うことになります。
ですが、共同親権だからといって「すべての事項を必ず二人で決めなければならない」わけではありません。
事項の重要度によって、単独で決定できるかどうかが変わります(民法824条の2)。
(1)原則として共同で決定すること
原則として共同で話し合い決定する例として以下のような項目があります。
| ● 進学先・転校など、子どもの教育方針に関わる重大な決定 ● 手術・入院など、医療に関する重大な決定 ● 財産管理に関する行為 ● 婚姻の同意など、身分行為の代理 |
(2)一方の親が単独で決定できること
共同親権を選択した場合でも、以下の場合は子どもと同居している親(同居親)が単独で決定することができます。
| ● 毎日の食事・外出・習い事の日程調整などの日常的な行為 ● 急な病気・事故への対応など、急迫の事情がある場合 |
4.単独親権の場合はどうなる?
離婚時に父母の一方のみを親権者と定めた場合、その親権者は子どもに関するすべての事項(身上監護・財産管理など)を単独で決定することができます。
一方、親権者でない親は、子どもの養育に関して親権を行使する立場ではなくなります。
ただし、以下の点は変わりません。
(1)親子交流(旧:面会交流)の権利
子どもと離れて暮らすことになっても、相手方親権者との合意や審判等に基づいて、定期的に子どもと会うことができます。
この権利・制度は、改正前は「面会交流」と呼ばれていましたが、令和8年4月の改正民法により「親子交流」という名称に改められました。
(2)養育費の支払い義務
親権の有無にかかわらず、子どもの親として養育費を支払う義務は継続します。
養育費に関しては下記コラムにて詳しく解説しています。

(3)「親権」と「監護権」を分けることも可能
これまでの単独親権制度では、親権者と子どもを実際に育てる「監護者」が別人になるケースもありました。
法律上の親権(財産管理や法律行為の代理)は一方の親が持ちつつ、実際の生活の監護は他方の親が担うといった形です。
法改正後も、親権者と監護者を分ける方法を取ることも可能です。
ただし、親権と監護権を分離することは、子どもにとって負担となったり現実面で種々の不便が生じたりするおそれがあります。
したがって、安易に分離しようとせずに慎重に検討すべきでしょう。
5.親権の話し合いがまとまらない場合はどうなる?親権の決め方
親権者を決める方法は、大きく「協議」「調停」「訴訟(裁判)」の3段階があります。
(1)協議(話し合い)
まず、父母間で話し合いによって親権者を決めることができます。
共同親権か単独親権か、また単独にする場合はどちらが親権者になるかを二人で合意できれば、その内容で離婚届を提出することができます。
【注意】離婚と親権、同時に決めなければならない?
未成年の子どもがいる場合は、離婚届に親権者を記載する必要があります。ただし例外として、「親権者指定調停・審判」を家庭裁判所に申し立てた上であれば、親権者が未定のまま先に離婚届を提出することも可能です(申立て後、速やかに届出を行う必要があります)。
(2)調停(家庭裁判所)
話し合いでまとまらない場合、家庭裁判所に「夫婦関係調整調停(離婚調停)」を申し立てることができます。
調停では、調停委員(裁判所が選任した専門家)が間に入って、父母双方の話を聞きながら話し合いを進めます。
裁判と違い、当事者が納得できる解決を目指す手続きです。
(3)調停に代わる審判
調停が不成立になった場合、裁判官が職権で審判(調停に代わる審判・家事事件手続法284条)を下すことがあります。
当事者が2週間以内に異議を申し立てなければ、審判は確定判決と同じ効力を持ちます。
訴訟に移行せずにここで解決するケースもあります。
(4)訴訟(離婚裁判)
調停でも解決できなかった場合、最終的には離婚訴訟(人事訴訟)で裁判官が親権者を決定します。
訴訟を起こすには、先に調停の手続きを経ることが必要です(調停前置主義)。
裁判所は総合的に考慮して、子どもの利益に最も資する形で判断を下します。
親権者を決める判断ポイントは、次の「6.親権者を決めるポイントは?」で詳しく解説しています。

6.親権者を決めるポイントは?
親権者をいずれか一方の親に決める場合、調停や裁判における親権者を定める基準としては、一般に、以下のようなものが考えられます。
(1)環境の「継続性の原則」
現在の安定している生育環境を変えてしまうことが、子供の情緒や人格形成に悪影響を与える可能性があるという理由から、実際に子どもを養育監護している親が優先されます。
監護者が不適切と判断された場合など、実際に監護していない親が親権を取る場合もありますが、非常に珍しいケースといえます。
(2)子どもの養育に向けた状況
経済状況、資産状況、居住環境、家庭環境などについて子どもの養育に適しているかが判断材料になります。
健康状態なども含め、様々な要素が考慮されます。
ただし、あくまで総合的に考慮される要素の中の一つといった位置づけで、例えば経済状況や資産状況だけで親権者が一義的に決まるものではありません。
(3)子どもの意思の尊重
15歳以上の未成年の子どもについてはその意思を尊重することが法律で定められています。
調停などでは、家庭裁判所調査官が子どもの面談などを行い、子の意思を確認しています。
親権について子ども自身に父親と母親のどちらかを選ぶような意見を聞くことは、子どもにとって大変なプレッシャーになりますから、裁判所では子どもが傷つかないような配慮の上で聞き取りを行っています。
(4)兄弟姉妹関係の尊重
血のつながった兄弟姉妹を分離することも、子どもの人格形成に深刻な影響を及ぼす可能性が高いといえます。
きょうだいを一緒に育てることを原則として考えている判例もあります。
(5)親族の協力
(2)のとおり経済状況や家庭環境が判断材料のひとつになりますが、本人だけでは十分な養育が困難であっても、親族(祖父母など同居の親族)の協力が得られる場合にはそのことがプラスの要素として有効に判断されることがあります。
(6)子どもに対する愛情・養育の意思
子どもに対する愛情と監護養育の意思があることは、親権が認められる大前提といえます。
ただし、親権が争われている場合には、当事者双方に強い愛情や意思があることがほとんどなので、これらが決定的な差になることはあまりないでしょう。
7.離婚後に親権者を変更できる?
一度決まった親権者も、その後の事情の変化によって変更できる場合があります。
その際には、家庭裁判所に「親権者変更調停・審判」を申し立てます。
調停で合意できれば調停成立となりますが、まとまらない場合は審判手続きに移行し、裁判官が判断します。
なお、親権者の変更はあくまで「子どもの利益のため」という観点から判断されます。
単なる親の都合による変更は認められません。
親権者変更が認められるためには、①現親権者に育児放棄・虐待・重大な病気など親権行使が困難な事情があること、②申立人の側に安定した監護環境が整っていること、③子どもの利益のために変更が必要であること、などを具体的に示す必要があります。
単に「取り戻したい」という気持ちだけでは認められません。
【施行前に離婚された方へ】
令和8年4月1日の改正法施行前にすでに離婚が成立し、単独親権となっている場合も、施行後は親権者変更の申立て(民法819条6項)により共同親権への変更が可能です。
ただし、法改正があったこと自体は「事情変更」とは認められません。現在の状況を踏まえ、共同親権が子どもの利益にかなうという積極的な事情が必要です。
8.よくあるQ&A
そのほか親権に関してよくいただくご質問をまとめました。
Q.単独親権を選択する場合、父親は親権を取れますか?
A.父親も親権を取れます。ただし、統計上は父親が単独親権を取れる割合は約10%前後となっており、厳しいのが現状です(参照:令和6年司法統計データ)。
これは父親だからという理由だけで親権者になれないということではなく、一般の家庭では現在もなお母親が育児の主な担い手になっているケースが多く、「環境の継続性」の観点から母親が親権者にふさわしいと評価されやすいためです。
各家庭の養育状況などにより父親が有利になるケースもあります。

Q.専業主婦(主夫)でも親権を取れますか?
A.専業主婦でも親権は取れます。親権を決める上で重要とされるのは経済力ではなく、「実際の育児にどれだけ関われるか」です。
専業主婦の場合、夫よりも積極的に育児にかかわっている方が多いので、親権者争いでは有利になりやすいといえます。
特に乳幼児の場合はその傾向が顕著です。
ただし、財産管理能力に問題がある場合や、過去に育児放棄や虐待が疑われる場合などは、専業主婦(主夫)であっても親権を取ることが難しい場合があります。
Q.親権争いでやってはいけない行動はありますか?
A.別居後における子どもの連れ去り、配偶者の悪口を子どもに吹き込む行為、正当な理由のない親子交流の拒否、子どもを置いての家出(ただし、DVなど緊急性の高いケースは除く。)、SNSへの不用意な投稿などが挙げられます。
Q.離婚後、共同親権と単独親権、どちらを選ぶべきですか?
A.「どちらが正解」という一律の答えはなく、ご夫婦の状況や子どもの環境によって最善の選択は異なります。一般論としては、以下のような整理ができるでしょう。
【共同親権が向いているケース】
● 離婚後も父母が子どものことについて冷静に話し合える関係にある
● 子どもが両親どちらとも良好な関係を持っており、双方の関与が子どもの利益になる
● 居住地が近く、日常的な連絡・協力が現実的に可能である
【単独親権が向いているケース】
● DV・虐待・他方の人格を傷つける言動がある、または過去にあった(この場合、法律上も単独親権となります)
● 父母間の対立が激しく(いわゆる高葛藤事案)、子どもに関する協議を重ねること自体が子どものストレスになる
● 居住地が遠方など、共同での意思決定が現実的に困難な事情がある
ご自身の状況に照らして判断が難しい場合は、弁護士にご相談のうえ、子どもにとって最善の選択をご検討ください。

9.まとめ
離婚時の親権についてコラムのポイントをまとめました。
| ✔ 親権とは、子どもの世話・教育・財産管理を行う権利であり義務。子どもの利益のために行使するもの。 ✔ 令和8年4月の改正民法により、離婚後も「共同親権」が選択できるようになった。 ✔ DVや虐待のおそれがある場合は、必ず単独親権となる。 ✔ 共同親権では、重要事項は共同決定が原則だが、日常的な行為や急迫の事情がある場合は単独で決定できる。 ✔ 単独親権でも、親権を持たない親は養育費の支払いや親子交流(旧:面会交流)の権利・義務を持つ。 ✔ 親権の決め方の流れは「協議→調停(審判)→訴訟」。話し合いがまとまらなければ裁判所が判断する。 ✔ 離婚後の変更は「親権者変更調停・審判」で可能。 |
親権問題を弁護士に相談するメリット
親権を決める上で、最も重要なのは子ども自身の利益・幸福であることはいうまでもありません。
親権の問題は、法律的な知識だけでなく、子どもの将来や生活環境など、感情面でも非常に複雑な判断が求められます。
重要な問題であるがゆえに、当事者同士の話し合いでは感情的になってしまい、話が進まないこともあるでしょう。
「共同親権か単独親権か迷っている」「相手と話し合いがまとまらない」「DVがあって相手と直接交渉できない」といった場合は、親権争いになる前に、まずは弁護士にご相談されることをおすすめします。
一新総合法律事務所が選ばれる理由
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