会社経営者の離婚

会社経営者の方が離婚するときの4つのポイント

ここでは、会社経営者の方が離婚する場合の4つのポイントについて解説いたします。

一口に会社経営者といっても様々ですが、ここでは中小規模の会社を念頭において解説します。

ポイント1 財産分与の割合について

会社の財産と個人の財産は別物ですので、大前提として財産分与の対象となる財産は、個人が所有する財産に限られます。

財産分与の清算割合は基本的には2分の1が基準となります。もっとも、財産が多額でしかもそれが経営者個人の手腕・能力によって形成されたものと評価できるようなケースでは、例外的に配偶者に分与する財産の割合を2分の1未満に減らすことができる場合があると考えられています。

ポイント2 株式の財産分与について

会社経営者の方は、当該会社の株式を保有しているケースが多いかと思います。家族経営の会社では夫婦それぞれが株式を持っていることも多いでしょう。

株式についても預貯金などの他の財産と同じく財産分与の対象となります(ただし、結婚する前から保有していた場合や相続により取得した場合等は対象になりません。)

株式の財産分与にあたっては、その評価額をいくらとみるかで争いになることがあります。上場されていない会社の株式(非上場株式)の評価方法には、様々なものがありますが、評価には専門的知識を必要とします。評価額をめぐって争いがある場合には、裁判所で鑑定が行われることもあります。

ポイント3 会社の債務の個人保証について

配偶者が会社の債務について個人保証をしているような場合には、離婚したからといって当然に責任がなくなるわけではありません。配偶者を保証人から外してもらいたい場合には、金融機関と交渉して了承をもらわなければなりません。

ポイント4 配偶者の役員・従業員の地位について 

配偶者が会社の役員(取締役)や従業員である場合には、離婚の問題と役員・従業員の地位の問題が別であることに注意しなければなりません。

家族経営の会社の場合、離婚を期に夫婦の一方が役員・従業員をやめることが多いと思いますが、そのようなケースでは、きちんと退任(役員の場合)・退職(従業員の場合)の手続をしておく必要があります。

配偶者が役員の場合、あらかじめ辞任届を提出してもらうか、株主総会で解任の手続をとるなどしたうえで、退任の登記を行う必要があります。

配偶者が従業員の場合、離婚を理由に解雇することはできませんので、離婚とあわせて退職について話し合い、退職合意書を取り交わしておくか、自発的に退職届を提出してもらうことが後の紛争を避けるうえで大切になります。

さいごに

このように、会社経営者の離婚には特有の留意点があります。

離婚についてお悩みの方は、ぜひ一度弁護士に相談されることをおすすめいたします。

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