《コラム》日弁連から新しい養育費の算定表が公開されました!

養育費はどうやって決まる?

子どもがいる夫婦が離婚するとき、子どもの監護者となる親は、離婚の相手方に養育費を請求することができます。

離婚時に養育費について合意できなかった場合は調停に持ち込まれます。調停でも話し合いがまとまらない場合には、審判手続に移行し、裁判官が養育費を決定します。

では、裁判官はどのように養育費の金額を決めるか、ご存じでしょうか。

もちろん個別の事情が考慮されますが、裁判官は一定の基準のもとで養育費の金額を算定しています。

交渉や調停の段階でも、審判が行われた場合に想定される養育費の金額を前提として話し合いが行われますので、裁判官がどのような基準で養育費を決定するかは非常に重要な問題です。

日弁連の提言

日弁連は、昨年11月から、離婚に伴う子どもの養育費の算定方式・算定表をまとめた表をホームページで公開しています。

養育費とは、経済的・社会的に自立していない子どもが自立するまでに要する費用で、具体的には生活に必要な経費、教育費、医療費などをいいます。養育費は、離婚した夫婦に未成年の子どもがいる場合に、子どもの監護者が非監護者に対して請求することができるものです。

養育費の算定にあたっては、2003年に「東京・大阪養育費等研究会」という裁判官の研究グループが提案した「簡易算定表」と呼ばれるものが実務で定着しています。

この算定表は、総収入から公租公課(税金)・職業費(仕事をしていると必要となる費用)・特別経費(住居関係費、保険料など)を引いた額を「基礎収入」とし、この中から養育費の金額の相場を出しています。

しかし、現行の算定表は「養育費の金額が低すぎる」という批判があり、見直しを求める声が上がっていました。

そこで、日弁連は、公租公課を最新の法令による理論値に修正する、基礎収入を算定するときに特別経費を差し引かないなどの修正を加え、新たな算定表を提案しました。

何が変わるのか

日弁連は新しい算定表を定着させるために裁判所などに呼びかけを行っていますが、新算定表は法律が定めたものではないので、裁判所が採用することが決まっているわけではありません。

新算定表が実務で一般的に利用されるかどうかは今後の動向によりますし、養育費について争いになったときに新算定表に基づき増額請求できるかについても、現時点(2017年3月)では不透明です。

もし日弁連の新算定表が採用された場合、何が変わるのか考えてみましょう。

現行の算定表の場合、給与取得者の基礎収入は総収入の約4割となり、この基礎収入を元に養育費が算定されます。一方、新算定表によると基礎収入は総収入の約6~7割となり、その分養育費は増額されることになります。

たとえば、15歳の子どもが1人おり、養育費の支払い義務者が400万円の給与所得者で、権利者が175万円の給与所得者である場合、現行の算定表による養育費は月額4~6万円ですが、新算定表では7万円となります。

つまり、養育費を請求する側にとっては新算定表の方が有利ですが、請求される側にとっては現行の算定表の方が有利ということになります。

しかし、そもそも養育費は子どもの生活維持のために支払われるものです。夫婦の有利不利だけを考えるのではなく、子どもの利益を第一に考える必要があります。

適正な養育費を受け取るためには弁護士にご依頼ください

現行の算定表もあくまで基準でしかなく、実際に養育費が算定される際には個別の事情が考慮されます。したがって、適正な額の養育費を受け取るためには、弁護士が代理人となり交渉することが望ましいでしょう。

一新総合法律事務所では、相談室にキッズスペース併設の相談室をご用意し、お子様がいらっしゃる方が相談しやすい環境を整えております。離婚や養育費についてお悩みの方は、お気軽にご相談にお越しください。

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