離婚は合意したけど、離婚協議書ってどうすればいい?

1 離婚の種類

離婚を決意したとき、まずは、夫婦でよく話し合ってみるということが多いのではないかと思います。

話し合いを行った結果、うまく話がまとまり、双方が署名押印した離婚届を提出して離婚する方法が「協議離婚」です。

夫婦で話し合いを行っても折り合いがつかないときは調停を申し立てることになり、調停で離婚を決める方法を「調停離婚」といいます。

裁判になってしまった場合は「裁判離婚」となります。

 

一口に離婚といってもこのような種類がありますが、日本では8割以上の離婚が協議離婚であるというデータもあるようです。

 

2 離婚協議書とは?

協議離婚は、単に離婚届を提出するだけでも成立します。

しかし、離婚をするにあたっては決めておくべきことが沢山あり、これらを決めずに離婚してしまうと、後でトラブルになることがあります。

未成年の子どもがいるときの養育費などはその典型で、離婚のときにしっかり決めておかないと、後で支払いを求めても支払ってもらえずにとても困ることも考えられます。

また、養育費などについて夫婦でしっかり話し合って決めたとしても、口約束だけにとどまっていると、後になって相手方から「そんなことは決めていない」と言われて、結局のところ泣き寝入りとなってしまう恐れもあります。

このようなことを防ぐために、協議離婚をする際には、「離婚協議書」を作成しておくことを強くおすすめします。

 

離婚協議書とは、離婚の際の条件について、その合意の内容を書面として残しておくというものです。

離婚条件についての、夫婦の間の契約書のようなものと考えていただくとわかりやすいかと思います。

正確な内容の離婚協議書を作成しておけば、後のトラブルを防ぐことができるのです。

ただし、離婚協議書は、あくまでも当事者間の合意を書面にまとめたものですから、これだけでは強制執行(給与等の差押え)を行うことはできません。

強制執行を行うためには、離婚協議書の内容をもとに、お二人で公証役場に赴き、公正証書を作成しておく必要があります。

 

3 離婚協議書の内容

それでは、離婚協議書にはどのような内容を記載しておけばよいのでしょうか。

協議書の内容に決まりはなく、原則としては自由なのですが、以下では、一般的に定めておくべきポイントを大まかにご説明したいと思います。

 ⑴ 離婚すること

まずは、当たり前ですが「離婚する」ということを定めた上で、どちらが離婚届を提出するかということも定めておくとよいでしょう。

 ⑵ 親権者(及び監護権者)

未成年の子どもがいる場合は、親権者をどちらにするかということ(及びどちらが監護養育するのか)を定めなければなりませんので、これについても明確に記載しておきましょう。

子どもの名前と、続柄(「長男」など)も記載してください。

 ⑶ 養育費

養育費の支払がある場合には、その金額、期間(いつからいつまで支払うのか)、支払方法(多くの場合は銀行振込です。

振込先口座なども記載しておきます)についても、必ず定めておきましょう。

また、多くの場合は毎月一定額を支払うという定めにするのですが、ボーナス月に増額をする場合や、月払いではなく一括で支払ってもらう場合など、いろいろなパターンがあります。

 ⑷ 面会交流

面会交流とは、親権者にならなかったなどの理由で子どもと離れて暮らすことになった親が、子どもと定期的に面会することをいいます。

頻度(「月一回程度」など)、一回の面会あたりの時間(「2時間程度」など)、場所(「新潟市内」など)といった事項を決めておくとよいと思います。

 ⑸ 財産分与

財産分与を行う場合にはそれも定めておく必要がありますが、財産分与には様々なケースがあり、決め方も様々です。

預金のみの場合などであれば、支払いの金額やその時期、方法などを決めておけばよいですが、不動産や住宅ローンの残りがある場合などには、どのように定めたらよいかについて弁護士に相談したほうがよいかもしれません。

 ⑹ 慰謝料

とくに不貞や暴力などがあった場合には、慰謝料の支払いを定めることもあると思います。

ここでも、その金額、支払時期、支払方法などを定めておきましょう。

 ⑺ 年金分割

年金分割とは、厚生年金ないし共済年金の婚姻期間中の払込保険料を最大0.5の割合で分割して、あなたに対する年金支給の基礎データとして譲り受けることができるというものです。

この手続きをする場合にも、忘れずに定めておきましょう。

分割割合は、基本的には0.5とするケースが多いと思います。

 ⑻ 公正証書の作成

上に述べた公正証書の作成を合意した場合には、その旨も記載しておきます。

公証役場で希望を伝えて書面化をお願いすることも可能ですが、できるなら、当事者間で合意ができた時点で、公正証書作成約束を記載した離婚協議書を取り交わしておき、公証役場には同文案に基づく公正証書の作成を依頼するとスムーズかと思います。

 ⑼ その他

これらの他には、この協議書に定めるほかには当事者間に支払いなどはないことを確認する「清算条項」や、住所や勤務先、連絡先等を変更した場合に通知することを定める条項をいれることもあります。

 ⑽ 日付、署名押印

形式的な部分ですが、作成した日付、お互いの住所、氏名、押印も忘れずにしておきましょう。

 

4 さいごに

離婚協議書で定めておくべきポイントは以上の通りですが、あくまで一つの例に過ぎません。

離婚も十人十色であり、その夫婦の離婚条件に沿った内容にする必要がありますし、正確な文言で定めておかなければ、後で争いになることもあります。

 

ですので、離婚協議書を作成する場合には、その作成を弁護士等の専門家に依頼することも検討するべきです。

もし、自分で作成するとしても、少なくともその内容のチェックは依頼しておいた方がよいでしょう。

当事務所の弁護士は、離婚協議書の内容に精通しており、ご相談者の方々の事情に合わせたアドバイスが可能です。

当事者間で合意はできているという場合には、離婚協議書の作成(書面の作成)だけをお受けすることも可能です。

離婚協議書の作成をお考えの方は、一度、当事務所にご相談に来ていただくことをお勧めいたします。

 

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