離婚協議中の夫婦間の諸調整(弁護士:谷尻 和宣 )

この記事を執筆した弁護士

弁護士 谷尻 和宣

谷尻 和宣
(たにじり かずのぶ)

一新総合法律事務所 理事/松本事務所長/弁護士

出身地:京都府南丹市(旧:八木町) 
出身大学:京都大学法科大学院修了
離婚をはじめ相続、交通事故など幅広い分野に精通しています。
保険代理店向けに、顧客対応力アップを目的として「弁護士費用保険の説明や活用方法」解説セミナーや、「ハラスメント防止研修」の外部講師を務めた実績があります。

離婚事件を担当していると、本題となる離婚条件(親権、養育費、財産分与等々)に関する協議以外でも、双方の連絡や調整が必要になる場面がしばしばあります。

このような連絡や調整はどちらかというと法律問題ではなく、事実上の事務作業にすぎないのですが、感情的に対立していることの多い当事者同士が直接やり取りをすると何かとトラブルに発展しかねないので、弁護士が間に入らざるをえないことがあります。

よく経験するのは以下のような場面でしょうか。

1 荷物の回収

離婚協議中の夫婦は別居していることがほとんどですが、様々な事情により事前の準備なく別居するに至った場合はもちろん、そうでない場合でも、家を出た配偶者の荷物が元の住居に残っていることが多々あります。

そのような時には、弁護士が間に入って荷物の回収、ないし搬出の方法や日程の調整をすることがあります。

基本的には日時を決めて当事者に直接取りに行ってもらうことが多いのですが、まれに弁護士の立ち合いが必要になるケースもあります。

また、私物の一切合切が残っているような場合には、業者を手配するなどしてかなり大掛かりになることもあります。

ただでさえ出て行った相手のことを快く思っていないのに、今さら住居に立ち入られるとなると悪感情が芽生えるのか、「夜間に取りに来い」とか「15分間で全部搬出するよう相手に伝えてください」とか無理難題を言い出す人もいます。

気持ちは分からないではありませんが、代理人の立場からはもう少し冷静になって淡々と進めてもらいたいところです。

2 子どもとの面会

お子さんとの面会交流でも、代理人が間に入らないといけない場合がありますが、ここでも日時や場所で調整が難航したり、面会交流のやり方にいちいち注文が付くような場面がないわけではありません。

子どもは親の持ち物ではないし、面会交流は何より子の福祉のためにやるものなのですが、感情的なしこりが残っている当事者にとってはそうもいかないようです。

ただ、離婚協議が進んで対立感情が和らいだり、回数を重ねて面会の実績が上がってくると、弁護士を介さずとも当事者同士で自主的に連絡を取って調整できるようになることもあります。

弁護士も離婚が成立すれば、事件終了となり手を引くことになります。

先の長いお子さんとの関係をよりよく構築していくには、対立ではなく協調、別れた元夫婦の間でも最低限の信頼関係は不可欠となるでしょう。

<初出:顧問先向け情報紙「コモンズ通心」2022年6月5日号(vol.269)>

※掲載時の法令に基づいており、現在の法律やその後の裁判例などで解釈が異なる可能性があります。


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