別居中の不貞行為は違法?慰謝料が発生するケース・発生しないケース

(2026年3月13日公開)
夫婦が別居中に、配偶者以外の第三者と交際を開始したり、肉体関係を持ったりなどいわゆる浮気をした場合、慰謝料請求の対象となるのでしょうか。
別居をすることで「もう夫婦関係は終わっているので問題ないのでは?」と思いがちですが、法律上は離婚が成立するまで婚姻関係が続き、上記のようなケースでは慰謝料請求のリスクが残ります。
別居中の浮気が慰謝料請求の対象になるかは、単に別居しているかどうかではなく、「①不貞行為に当たる行為があったか」と「②その時点で婚姻関係が破綻していたか」が判断の分かれ目となります。
本記事では、不貞行為の定義、慰謝料が認められやすいケース/認められにくいケース、婚姻関係破綻の判断の要素、不貞行為の有効な証拠や対応手順までを解説します。
1.法的に「不貞行為」と見なされる行為は?
不貞行為とは、一般的に配偶者以外の第三者と自由な意思で性的関係(性交渉といった肉体関係)を持つことを指します。
別居していても、離婚が成立するまでは法的に婚姻関係が続いているため、夫婦双方に「貞操義務」が残り、配偶者以外の第三者と性交渉があった場合には不貞行為になり得ます。
不貞行為は、法定離婚事由(民法770条1項1号)に当たるため、不貞をされた側が(調停前置の上で)離婚を求めて訴訟を提起し、不貞行為が立証されて法定離婚事由があると認定されれば、原則として判決によって離婚が認められます。
なお、不貞をした側(有責配偶者)からの離婚請求が認められるには、一定の制約があります。
また、不貞行為は夫婦の貞操義務に違反する不法行為にあたり、不貞行為が認定された場合、不貞行為を行った側は、もう一方の配偶者に対して、損害賠償(慰謝料)を支払わなければなりません(民法709条)。
なお、キスをする、手をつなぐ、食事や旅行に行くなどといった行為は、それだけで直ちに不貞行為と認定されるとは限りません。
ただし、慰謝料請求では、「頻繁に会っている」「深夜に長時間2人きりで会っている」「宿泊を伴う」などの周辺事情から不貞行為が推認されることもあります。
2.別居中の浮気が慰謝料の対象になりやすいケース
別居中の不貞行為で最大の争点になりやすいのが、不貞行為時点で婚姻関係が「破綻していた」といえるかどうかです。
別居の目的が一時的な冷却期間に近い場合や、別居していても夫婦のつながりが維持されている場合は必ずしも婚姻関係が破綻していたとは言えず、第三者との性交渉等が婚姻の平穏を壊したと判断され、不貞行為として慰謝料請求が認められる可能性が高まります。
以下、別居状態でも婚姻関係が継続していたと判断される主な要因を紹介します。
①別居期間が短い
別居開始から間もない段階では、婚姻関係が完全に破綻している状態とは言いにくく、修復可能性があると見られやすいです。
そのため、この時期の第三者との性交渉等は不貞行為に当たり、慰謝料を請求されるリスクが高くなります。
当事者の感覚としては「もう戻れない」と思っていても、客観的に見て別居直後という段階は、一時的な冷却期間に見えることがあります。
特に、別居理由が日常の喧嘩程度の場合、婚姻関係が破綻しているかどうかの評価は、厳しくなるといえます。
②別居後も夫婦の交流が続いている
別居中であっても、子供に関することも含め連絡を頻繁に取り合っている、定期的に子どもとともに面会をしている、家族として一緒に外出するなどの交流が残っていると、婚姻関係が続いていると評価されやすくなります。
また、生活費の送金、家計の管理、保険や住宅ローンの扱いなどが夫婦単位で動いているなど経済的な面で夫婦としての一体化が継続している場合には、別居していても共同生活に近い状態だと見られることがあります。
このような状況での不貞行為は、「なお維持されていた夫婦関係の平穏を侵害した」と判断され、慰謝料請求が認められやすくなります。
③離婚を前提にしていない一時的な別居
一次的な喧嘩による家出、単身赴任、介護や子どもの進学など、別居の目的が生活上の都合や一時的事情であれば、婚姻関係は継続していると見られやすくなります。
④別居前から不貞関係が継続している
別居中に不貞行為が発覚したとしても、その不貞関係が別居前から継続していた場合は、破綻前の不貞行為として評価されやすくなります。
⑤一方的に別居を開始した側の不貞行為
相手の同意なく家出をしたなど、一方的な別居の場合は、別居の正当性や婚姻継続の意思について主な争点となりやすいといえます。
その状態で第三者との性交渉等があると、慰謝料請求に発展しやすくなるといえるでしょう。
ただし、別居理由がDV被害からの避難など、やむを得ない事情だった場合には評価が異なってきます。
3.別居中の不貞行為が慰謝料の対象になりにくいケース
離婚成立前であっても、不貞行為時点で、すでに婚姻関係が客観的に破綻していると認定されれば、原則として慰謝料は否定されます。
ポイントは「主観的に終わっていた」では足りず、客観的に第三者から見ても夫婦共同生活の回復見込みがない状態であったかです。
①婚姻関係が破綻しているといえる場合
婚姻関係が破綻している状態とは、以下のような状態をいいます。
| ・夫婦双方に婚姻を続ける意思がない ・夫婦としての共同生活が回復される見込みがない |
破綻の判断は「別居している」だけでは足りず、別居の期間、経緯、関係修復の話し合いの有無、実際の夫婦間の交流の有無などを総合的に考慮して判断されます。
破綻の程度が明確でない場合には、事情に応じて慰謝料の額が減額されることがあります。
②離婚を前提にした協議・調停・裁判が進んでいた場合
離婚協議や離婚調停、離婚裁判が進行し、離婚が現実的に予定されている状態になっている場合、婚姻関係の破綻に近い状態と評価されやすくなります。
夫婦がお互いに離婚意思を明確にし、条件調整の段階に入っているなどの場合は、その傾向は強まります。
ただし「離婚協議中だから何をしてもよい」というわけではありません。離婚条件が未確定で、同居再開の余地が残っているようなやり取りがあると、破綻とまでは言い切れないこともあります。
③別居期間が長期に及ぶ場合
長期間の別居は破綻状況を推認する要素となりますが、「何年別居すれば当然に破綻といえる」という明確な基準はありません。
仮に別居期間が長かったとしても、夫婦が子どもの関係で頻繁に交流している、生活費のやり取りが継続しているなどの事情がある場合は、婚姻関係の破綻が否定されることもあります。
④肉体関係がない場合の扱い
別居中に恋人ができたとしても性交渉等がない場合、不貞行為としての慰謝料請求は認められにくいといえます。
ただし、交際が親密であることが原因で夫婦関係が決定的に悪化し、離婚の直接の引き金になったなどの事情があると、慰謝料請求の問題として争われることがあります。
4.別居中の不貞行為に対する慰謝料請求
別居中に不貞行為が発覚した場合の慰謝料請求について解説します。
配偶者と不倫相手の双方に請求できる
配偶者の不貞行為が発覚した場合、配偶者とその不貞相手の双方に慰謝料を請求することができます。
ただし、不貞行為の損害賠償を、双方から二重取りすることはできません。
例えば、慰謝料の金額が200万円と決まった場合、双方に対し200万円ずつ請求をすることはできますが、双方から合計400万円を受け取ることはできません。
どちらに幾らの請求をするかは、自由に決めることができますが、証拠の内容、相手の資力、今後の離婚協議との関係を考慮しながら決めるのが現実的と言えます。
不貞慰謝料請求の方法については、以下のコラムで詳しく解説していますのでご参考になさってください。

不貞相手が既婚の事実を知らなかった場合
不貞相手に対して責任を問うには、相手が既婚者であることを知っていた、または注意すれば知り得たといえることが必要になります。
不貞相手から「独身だと聞いていた」という主張が出た場合、SNS上のやり取りの内容、結婚指輪着用の有無、住まいの状況や週末の過ごし方についての情報共有の有無などから、既婚者であると気づくことができる要因があったかが検討されます。
別居中は「独身同然」と説明されて、不貞相手に過失がない場合もありうるため、不貞相手の既婚についての認識を裏付けるやり取りの有無が証拠として重要になります。
求償(肩代わり請求)で揉めるケースに注意
求償権とは、不貞相手が慰謝料を一人で全額(もしくは割合の多く)支払った場合、不貞相手は自分の負担分を超えた分を、もう一方の当事者(配偶者)に請求できる権利です。
不貞相手が配偶者へ求償し、配偶者がそれに応じることになり、当該夫婦が離婚を選択しない場合には、結果として夫婦の資産から求償された分が支払われることになってしまって、慰謝料をもらったつもりが実質的な負担が生じる場合があります。
不貞行為について示談で解決する際は、求償をどう扱うかまで見越して話し合い、示談書を作成することが重要です。
後になって揉めないためにも、慰謝料を請求する場合には弁護士に相談することをおすすめします。

5.別居中の不貞行為における慰謝料相場と増減要因
不貞慰謝料は、別居の状況や破綻の程度、不貞の態様によって金額が増減します。
相場の目安
裁判で不貞の事実が認められた場合、裁判所が決める慰謝料の額は、不貞の回数・頻度、婚姻期間の長短、子どもの人数、現在の夫婦関係(不貞行為が原因で別居・離婚に至ったかどうか)等の事情によって変わってきます。
裁判になった場合の相場はおおむね50万~300万円程度と考えられますが、不貞の態様や婚姻期間、不貞行為の結果離婚に至ったかどうかなどによって大きく変動します。
なお、裁判とは異って示談の中では、当事者の合意で金額を決めることができます。
ただし、別居中の不貞行為に対しては、同居中の不貞行為に比べて慰謝料が低めに評価されることもあります。
別居に至っているということから夫婦関係がすでに悪化しており、精神的苦痛の程度が小さいと評価される場合があるからです。
一方で、別居に至った原因が相手の不貞行為であったり、別居中でも夫婦関係が継続し安定していたと見られたりすると、別居中でも相場並み、または高めになることもあります。
慰謝料が増額されやすい事情
不貞の回数が多い、期間が長い、関係が継続しているなどの事情は、慰謝料額が増額されやすい事情といえます。一度の過ちより、継続的な裏切り行為として評価されやすいからです。
不貞相手との同棲、妊娠、二重生活のように夫婦の婚姻関係を深く侵害する事情や、不貞の事実の発覚後も関係をやめない態度は、悪質性が高いと評価されやすいです。
婚姻期間が長い、未成熟の子がいるなど、家庭への影響が大きいといえる事情も慰謝料の増額方向に働きやすいです。
慰謝料が減額されやすい事情
不貞行為時点で、既に夫婦関係は破綻に近い状況だった、別居が長期化していた、夫婦の交流が相当程度希薄だったといった事情は、慰謝料の減額要素になり得ます。
婚姻期間が短い場合や、不貞の回数が少ない場合も減額につながることがあります。
ただし、減額されるかどうかの判断についても、証拠などで客観的に事情を示せるかどうかによります。
6.不貞行為の証拠の具体例
不貞で慰謝料請求をした側・された側のいずれにとっても、行為を客観的に立証するための証拠の有無やその内容が慰謝料請求の結果に大きく影響します。
有力な証拠になりやすいもの
客観的に不貞行為があったことを示すのに有力な証拠には例えば以下のようなものがあります。
| ◆有効な不貞の証拠◆ ・肉体関係があったと立証できる動画・写真 ・探偵の行動調査報告書など、第三者が見ても不貞の状況が理解できる資料 ・ホテルの宿泊を示す領収書、クレジットカード明細、交通系ICの利用履歴などによる、不貞日時や場所の特定ができるもの ・肉体関係があったことが分かる内容のメールやLINE等のSNSでのやりとりのスクリーンショット ・当事者が不倫(不貞)を認めた内容のデータ(音声データ、SNSのメッセージ、自認書等) |
不貞慰謝料請求の成功には証拠の確保がとても重要になってきます。
一方で、たとえ親密に交際をしていた場合でも、ただのツーショット写真など、不貞行為があったことを直接的に証明できないものについては、それのみでは証拠として不十分といえます。
また、証拠を集めることに必死になる余り、不正アクセス、盗聴、位置情報の違法取得などは、逆に相手からの損害賠償や刑事問題につながる可能性があるため注意する必要があります。
証拠収集では、プライバシーや適法性に配慮しつつ、必要に応じて弁護士などの専門家に相談して進めるのがよいでしょう。
時系列整理と証拠保全のコツ
別居中の不貞は「行為時点」が重要といえるため、日付の特定ができる形にすることがポイントです。
別居開始日、離婚協議の開始、不貞関係の開始、宿泊日などを時系列で整理し日付を明らかにしておくと、不貞行為を主張しやすいケースか否かがわかりやすくなります。
メッセージ等のやりとりは削除されることもあるため、バックアップや原本の保存も意識します。
後になって改ざんの疑義等の問題を避けるため、データの加工はせず、正しい取得方法や保管方法を行いましょう。
7.慰謝料請求を受けた場合
請求を受けた側は、焦って不用意に不貞行為を認めたり、慰謝料を一部でも支払ったりすると、不貞関係を認めたということに繋がって後日不利になりやすいため、まずは事実関係と争点を整理し、冷静に対応方針を検討しましょう。
請求内容と証拠の有無を確認する
まず確認すべき点は、誰が誰に、いくら、どのような事実を根拠に請求しているかです。
次に、相手がどんな証拠を提示しているのか確認します。
直接的な写真や探偵報告書なのか、メールやSNSのやりとりなのか、いつの出来事かがしっかり分かるかなど、証拠の内容を把握することが重要です。
不貞行為該当性と破綻の有無を検討する
相手の証拠から、肉体関係があったか、または不貞行為が推認され得る状況だったかを検討します。
証拠が弱いなどの場合には、争う余地があるといえます。
同時に、不貞行為時点で、婚姻関係が破綻していたといえるかを検討します。
別居理由、別居の合意の有無、離婚意思の表明、別居後の連絡・金銭のやりとり・交流の実態などを時系列で整理します。
それぞれの事情により方針が異なりますので、弁護士などの専門家に相談するのがよいでしょう。
請求額の妥当性を確認し交渉する
請求額が、相場やほかの事例と比べて不当に高額ではないかなど、請求額の妥当性を確認します。
この点について、別居中の不貞行為においては、状況によって減額要素がある場合も多いといえます。
弁護士に相談すべきタイミングは、請求された時点、または不貞を疑われて紛争化しそうだと感じた時点などです。
別居中の不貞は、夫婦関係の破綻の評価や証拠の見立てが難しく、安易な自己判断で進めると、不利な発言や合意をしてしまう場合があるので注意が必要です。

8.別居中の不貞行為に関するよくある質問
ここでは別居中の不貞行為に関するよくある疑問を、判断の軸がどこにあるかという観点で整理します。
家庭内別居中の不貞行為はどうなる?
家庭内別居は、夫婦での生活が分かれていても、夫婦間の連絡や家計の同一性、子どもを介した関わりが残りやすく、婚姻関係が破綻していると判断されにくい傾向があります。
そのため、家庭内別居中であっても、不貞行為があると慰謝料発生のリスクが高いと言えます。
離婚協議中の交際はどこから危険?
離婚協議中であっても、離婚成立前の性交渉等は、不貞と評価されるリスクが残ります。
離婚協議中という事情は、夫婦関係の破綻の判断に影響し得ますが、必ずしも免責されるわけではありません。
協議や調停の進捗、合意内容、別居理由などによって結論は変わりうるため、離婚成立までは慎重に行動をする必要があるでしょう。
離婚条件に影響する?
不貞行為が離婚協議や調停で不利な事情として持ち出され、子どもとの親子交流(面会交流)や養育費、財産分与などの条件交渉が難しくなることがあります。
不貞行為は、離婚に当たっての交渉環境を難しくさせやすいともいえます。
別居中はいつから別の人と交際OKなの?
別居中の交際が、不貞行為といえるかどうかは、別居しているという事実ではなく 「その時点で婚姻関係が客観的に破綻していたか」が要素となります。
ここで、婚姻関係が破綻したと判断する期間などの明確な判断基準はありません。
まずは、離婚を成立させ、離婚成立後に交際を開始するのが安全でしょう。
9.別居中の不貞行為は弁護士へご相談を
別居中の不貞行為が慰謝料請求の対象になるかは、例えば性交渉等の不貞行為に当たる事実を裏付ける証拠と、その時点で客観的に婚姻関係が破綻していたといえるかという総合判断で決まるといえます。
別居中であっても、離婚が成立していなければ婚姻関係は継続しており、性交渉等があれば不貞行為として慰謝料請求の対象になり得ます。
別居という事実だけで婚姻関係が破綻しているということになるわけではありません。
一方で、不貞行為時点ですでに婚姻関係が客観的に破綻していたといえる場合には、慰謝料請求が否定・減額される可能性があります。
ただし、破綻しているか否かについて、一律の判断基準はなく、別居の経緯や別居後の交流、家計の状況、子どもの事情などを総合して判断されます。
最終的な判断の分かれ目は、証拠の内容と時系列の整合性にあるといえます。
請求する側もされる側も、事実関係を整理し、必要に応じて早めに弁護士へ相談しアドバイスを受けることが重要になります。
一新総合法律事務所では、不貞慰謝料請求に関するご相談は初回相談無料で承っております(離婚に関する内容を含む場合は初回相談料5,000円です)。
別居中の浮気が不貞行為と判断されるのか、慰謝料請求の対象となるのかの判断の中で、「〇年以上の別居期間があれば、婚姻関係が破綻している」といった法的な決まりはありません。
ご自身で判断して行動することは、後々のトラブル発生につながる恐れがあります。
まずは一新総合法律事務所の離婚チームの弁護士にお気軽にご相談ください。

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