離婚の方法4種類と離婚成立までの流れ

離婚と一口に言っても、離婚成立までにはさまざまな種類があることはご存知でしょうか。

離婚には主に4つの種類があり、それぞれ手続きや流れが異なります。

このコラムでは、離婚の種類とそのメリット・デメリットを簡単にご説明させていただきます。離婚の方法を知ることで、離婚の過程をスムーズに進められるようにしましょう。

この記事を監修した弁護士

弁護士 橘 里香

橘 里香
(たちばな りか)

一新総合法律事務所 
理事/弁護士

出身地:沖縄県那覇市 
出身大学:青山学院大学法科大学院修了
新潟県弁護士会子どもの権利委員会副委員長を2019年から務めています。
離婚チーム長を務め、主な取扱分野は、離婚(親権、養育費、面会交流等)、男女問題。そのほか相続、金銭問題など幅広い分野に精通しています。
メンタルケア心理士の資格を活かし、法的なサポートだけでなく、依頼者の気持ちに寄り添いながら未来の生活を見据えた解決方法を一緒に考えていきます。

1.離婚4種類と離婚成立までの流れ

離婚には大きく分けて協議離婚、調停離婚、審判離婚、裁判離婚の4種類があります。

それぞれの離婚方法には異なる手続きと特徴がありますが、日本における離婚問題は、協議→調停(→審判)→裁判の順序で進んでいきます。 ※下図参照

審判は、稀な手続きですので、一般的には協議→調停→裁判と進むと理解いただくと良いかと思います。

次に、それぞれの離婚の種類についてみていきましょう。

2.協議離婚

協議離婚とは

協議離婚は、当事者間の話し合いによって成立する離婚方法です。

日本における離婚の約9割が協議離婚によるものとされています(※)。

裁判所を通さず夫婦間で直接話し合い、合意が得られれば離婚届を提出するだけで離婚が成立します。

離婚届には当事者それぞれの署名と、成人の証人2名の署名が必要です。

※厚生労働省:令和2年の統計結果によるhttps://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/tokusyu/rikon22/dl/gaikyo.pdf

協議離婚のメリット・デメリット

協議離婚のメリットとしては、家庭裁判所を介さないで離婚するため、当事者間で離婚の合意ができている場合は、他の離婚方法と比べて費用や時間がかからないことが挙げられます。


一方、デメリットとしては、当事者間で話し合いができない程に夫婦関係が悪化している場合、協議離婚は難しいと言えるでしょう。

特に財産分与や養育費、慰謝料など、お金に関する問題で意見が対立すると、話し合いが膠着し、結果的に長引くことがあります。


しかし、離婚を成立させることを優先するあまり、離婚条件を妥協したり、きちんと取り決めないまま離婚をしてしまうと、あとから交渉しようとしても応じてもらえないことも少なくありません。


離婚する前に、離婚条件についてきちんと取り決めを行い、合意した内容をきちんと合意書の形で残しましょう。

金銭の支払いがある場合には、できるだけ公正証書にして残しましょう。

離婚後に金銭の不払いが発生した場合でも強制執行の対応が可能となります。

■もっと詳しく →協議離婚

3.調停離婚

調停離婚の手続きと流れ

調停離婚は、夫婦間の話し合いでは離婚条件を決定できない場合に、家庭裁判所で行われる手続きを指します。


これは裁判ではなく第三者を含めた話し合いという位置付けです。

通常、家庭裁判所が選任した2人の調停委員が、当事者双方の話を順番に聞いていく方法により行われ、夫婦間の意見の調整を行いながら合意を目指します。

日本では「調停前置主義」といって、はじめから離婚裁判を行うことはできず、必ず離婚調停を先に行わなければならないとされています。


離婚調停は、配偶者の住所地を管轄する家庭裁判所に申し立てます。(※ただし双方の合意があれば他の裁判所でも申立て可能です。)

調停は、おおよそ月に1回程度開かれ、ケースにより異なりますがだいたい3回~6回ほどで終了します。


調停では、離婚をするかどうかだけではなく、離婚条件(親権・養育費・面会交流・財産分与・慰謝料・年金分割)などについても話し合います。


離婚や離婚条件について双方の合意が得られた場合には調停成立となり、調停調書が作成されます。

調停成立後、調停調書謄本を市区町村役場に提出します。

合意に至れない場合は、調停は不成立で終了となります。

離婚を希望する側は、次の手続きとして、訴訟を提起し、裁判を起こす必要が生じます。

調停離婚のメリット・デメリット

調停離婚のメリットとしては、調停員を介して話合いができるという点です。

第三者を介することで、冷静に話し合いを進められるという効果が期待できます。

また、調停で合意した場合、裁判所において調停調書という形で合意内容を書面化してもらえることから、別途合意書を作成する手間が不要となります。

更に、調停調書には確定判決と同一の効力が認められ、そこで合意した支払約束などは、強制執行が可能となります。


一方で、デメリットとしては、あくまでも話し合いの手続きであることから、当事者が家庭裁判所に出頭しなかったり、離婚条件でまとまらなかったりした場合には、調停不成立となります。

また、原則として相手方居住地の裁判所に申立てなければならないというルールがあります。

ただ、最近では電話会議やWEB会議システムを利用して行う事も可能となってきており、成立手続き以外の期日は、このような方法で行う事も可能です(離婚調停成立の際には、管轄裁判所への両当事者の出頭が必要となります)。

さらに、通常は、期日を何回か繰り返すことから、平日に仕事を調整して、複数回家庭裁判所へ出向く必要が生じます。

■もっと詳しく →調停離婚

4.審判離婚

審判離婚の手続きと流れ

審判離婚は、調停が不成立の場合に家庭裁判所の判断(審判)をもとに離婚条件を取り決める方法です。

 

離婚調停において大筋では合意できてはいるが、詳細部分において調整できずに調停不成立となった場合や、病気などの事情により裁判に出頭できない場合などに行われるもので、離婚の成立方法としては非常にまれなケースでした。

しかし、近年は遠距離で裁判所に出頭が難しいケースなどで審判離婚の利用が増えてきており、審判離婚件数が増加傾向にあります。


審判の告知を受けた翌日から2週間以内に双方から異議申し立てがなければ審判が確定し、審判離婚が成立となります。

審判成立後、審判書と確定証明書を市区町村役場に提出します。

審判離婚のメリット・デメリット

審判離婚は家庭裁判所が調停を経て決定を下すため、迅速な解決が可能というメリットがあります。

また、調停離婚する際には、両当事者が家庭裁判所に両方とも出頭している必要があるところ、審判であれば当事者が出頭せずに行うことも可能であることから、遠距離で電話会議などを利用して調停を行っている事案でメリットがあります。

審判が確定すれば、裁判になることを避けながらも、裁判の確定判決と同じ効力が発生します。


一方で、審判に相手方が異議を申し立てると審判は効力を失い、結局は裁判を行わなければいけなくなることがあります。

また、審判離婚は、家庭裁判所が「相当と認めるときは・・・できる」とされており、裁判所が相当と認めた場合にしかできません。

調停不成立となる前に、離調停委員会から一定の案が示されている場合なども多く、その場合、同じ裁判官から審判が下されるため、従前の和解案と同様の審判がなされる可能性が高いというデメリットがあります。

5. 裁判離婚

裁判離婚の手続きと流れ

裁判離婚は、協議、調停で合意ができなかった場合、家庭裁判所に訴訟を起こして、裁判官による判決によって最終的な判断を下してもらう方法です。

裁判離婚の場合、法律に定められている離婚原因がなければ離婚は認められません。

法律で定められた離婚原因は次のものがあります。

1. 不貞行為
2. 悪意の遺棄
3. 3年以上の生死不明
4. 回復の見込みがない強度の精神病
5. その他婚姻を継続しがたい重大ない事由

▼法律で定められた離婚原因についての詳細はこちら
離婚に必要な事由

裁判離婚を進めるには、夫婦どちらかの住所地を管轄する家庭裁判所に離婚訴訟を提起し、訴状、答弁書、準備書面などの書面での主張、その主張を裏付ける証拠の提出が必要となります。

続いて口頭弁論が開かれたのち、調査官による調査や証人尋問を経て、最終的に裁判所が判決を下します。


裁判離婚は通常、判決までに1年から1年半の時間がかかることが多く、精神的・経済的な負担も大きくなります。

協議離婚、調停離婚との大きな違いは、当事者間に離婚の合意が無くても、法律で定められた離婚原因が認められれば、強制的に離婚することができる点です。

離婚を認める判決が確定したら、判決謄本、確定証明書を役所に提出します。

また、裁判の途中であっても離婚を成立させる方法として、以下の2つの方法があります。

①和解離婚

和解離婚とは、離婚裁判の途中であっても、双方が合意して和解すること(裁判上の和解)により成立する離婚のことです。

例えば、離婚裁判の途中で、離婚調停で合意できなかった条件(財産分与や親権問題など)について双方の合意が得られた場合、裁判官が判決を下す前に双方の合意によって離婚が成立する、というものです。

和解離婚が成立したら、市区町村役場に和解調書を提出します。

②認諾離婚

認諾離婚とは、離婚裁判中に、訴訟を起こされた側(被告)が、訴訟を起こした側(原告)の訴えを全面的に認め、裁判所がそれを確認することで成立する離婚方法です。


例えば、相手が不貞行為を認め、それに基づいて離婚を求められた場合、被告が争いを避ける目的などのためにその事実を認めることで認諾離婚が成立します。


認諾離婚が成立するのは、原告側の請求が「離婚する」ことのみの場合となり、離婚条件(慰謝料、財産分与、養育費、子どもの親権者)などについても争っている場合には認諾離婚は成立しません。

認諾離婚が成立したら、裁判所によって認諾調書が作成されますので、受領後、市区町村役場に認諾調書を提出します。

裁判離婚のメリット・デメリット

裁判離婚のメリットとしては、裁判官が介入して離婚の成否及び離婚条件を判断するので、客観的に離婚問題を解決することが可能となる点です。

また、離婚を認める判決が出れば、相手の合意が得られなくても離婚ができます。


ただし、裁判離婚にはデメリットもあります。

判決が出るまでに1~1年半以上と時間がかかることや、弁護士費用・訴訟費用といった経済的負担、裁判となると夫婦間のプライバシーが公になることから精神的な負担も大きくなります。

■もっと詳しく →裁判離婚

6. あなたに最適な方法を弁護士がご提案します

離婚問題は協議、調停、裁判と進むにつれて問題が長期化し肉体的な負担だけではなく、精神的・経済的負担も大きくなります。


近年では早期から専門家に相談するケースが増えています。

離婚後の生活をスムーズに開始するためには、事前に離婚条件について取り決めを行うことが不可欠で、特に財産分与、子どもに関する事項(親権、養育費、面会交流)などの重要な条件を曖昧にしたままで離婚してしまうと、あなたに不利な条件でしか支払われない、口約束だけで払ってもらえないなどのトラブルになる可能性があります。


早期段階から弁護士が介入することによって、状況を適切に把握し、適切な手続きをとっていくことが可能となります。

納得のいく離婚をする為にも早期に専門家である弁護士にご相談されることをお勧めします。

一新総合法律事務所では、依頼者の皆様に納得してもらう為にきちんとお話を伺いながら、今後の方針を一緒に検討いたします。

是非一度、当事務所にご相談ください。


弁護士法人 一新総合法律事務所について

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