《コラム》コロナウイルスと養育費の関係について
1 コロナウイルスによる収入の低下
「コロナウイルスの関係で収入が下がってしまった。」
「仕事を辞めざるを得なくなってしまった。」
という方が少なからずいらっしゃるかと思います。
では、この場合、養育費はどうなるのでしょうか。
2 養育費の決め方
養育費については、離婚の際に父母が協議の上で定め、協議が調わないとき、又は協議することが出来ないときは、家庭裁判所がこれを定めることとされています。
父母による合意又は家庭裁判所による審判で決定されてはじめて具体的な義務となります。
具体的な額については、父母の収入を基礎にして算定するのが通常です。
3 収入が下がった場合の養育費の支払について
では、収入が下がった場合、当然に養育費は減額されるのでしょうか。
結論からいうと当然には減額されません。
上記に記載したように養育費は、一度、父母による合意又は家庭裁判所による審判により決定されると具体的な義務になります。
具体的な義務となる関係上、当事者の一方の都合により、一方的に変更することができなくなります。
そのため、収入が下がったとしても、当然に養育費が減額されるということにはなりません。
4 養育費を変更するためには?
⑴ 変更方法について
当事者に合意がある場合、その合意に従って減額することは可能です。
また、家庭裁判所は、事情の変更がある場合には、養育費の増減をすることができるとされています。
そのため、当事者間で減額について協議ができるのであれば協議の上で定め、協議が調わない又は出来ないときには家庭裁判所に審判を求めることになります。
⑵ 事情の変更について
ただし、減収が一時的なものである場合など、減収されたからといって直ちに養育費の減額ができるというわけではありません。
合意の前提となっていた事情に変更が生じ、その事情変更が予見できるものではなかったこと、その事情変更が当事者の責任とはいえないもので、当初の合意どおりに養育費の支払を強制することが公平に反することなどを考慮して判断が必要となります。
5 まとめ
養育費の支払いについて、公正証書や調停などで合意をしている場合には、一方的に減額することは許されません。
コロナで先行きが読めない状況だからこそ、離婚に際して、公正証書や調停合意などしっかりした形をとることの重要性が明らかになったといえると思います。
これから離婚の協議を進めようとお考えの方、相手方に養育費の減額を求められている方、相手方に養育費の減額を求めようと考えている方、少しでもお悩みの方は、お気軽にご相談ください。
※掲載時の法令に基づいており、現在の法律やその後の裁判例などで解釈が異なる可能性があります。
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