2016年12月活動報告-別居について-

別居時期を決める意義

財産分与の対象となる財産は、婚姻時から別居時までの夫婦の共有財産ですので、離婚する場合には別居時期が何時なのかを検討します。

もっとも、夫婦間で合意があれば、財産分与の対象となる財産を任意の合意により決めることができるので、別居時期が分からなければ財産分与ができない、ということではありません。

また、協議離婚が難しい場合、離婚事由を判断するための一事情として別居期間の長さが考慮されることもあります。

婚姻破綻としての別居期間を考慮する場合には、婚姻期間と別居期間を相対的に比べて長短を検討します。

別居の基準

別居時期が明確な場合としては、夫婦の一方が、自宅から出て行った場合が挙げられます。喧嘩して自宅から実家へ戻った場合や、アパートを借りて1人又は子どもを連れて生活を開始した場合等です。

他方、別居時期が不明確な場合としては、家庭内別居の場合や夫が県外出張で別居生活が始まり、その後、夫婦関係が悪化した場合が挙げられます。

このような場合、いつの時点を別居開始の起算点と評価するべきかは明確ではありません。

夫婦共同生活の実態があるか否か

婚姻破綻としての別居期間を判断する場合、夫婦の共同生活の実態があるかという観点から判断することがあります。

例えば、相手方の居住先に食事を作りに行っていた場合や、家族で対外的に行事に参加していた場合等は、別居していても夫婦共同生活の実態は失われていない、すなわち婚姻破綻としての別居とはいえないと評価されやすい事情といえます。

もっとも、婚姻破綻としての別居期間は、離婚事由の一つの考慮要素に過ぎませんので、DV行為や不貞行為などの離婚事由が認められる場合には、それらの事情のみで離婚が認められることがあります。

夫婦共同生活の実態があるか否かについては、個別具体的な事情を考慮して判断することになります。

このように、夫婦共同生活がどの時点で破たんしたかについては、個々の事情に応じて判断が異なります。

詳しくは弁護士にご相談ください。


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